書いた人:犬淵




無駄に新婚に萌えてます。(タイトルかよ)


真田家の朝は早い、とはいえ早いのは一家の母である佐助一人。
まだ朝刊も牛乳も届いていない時間からキッチンに立つ。

まず最初に取り掛かることはダシ作り。
一日の大半の料理に使うそれは毎朝欠かすことない作業になっている。
大きな鍋に水を張り、軽く拭いた昆布を入れ一煮立ち。
その合間に昨晩セットして炊いておいたご飯をかるく混ぜておく。
鍋に鰹節を入れ頃合いを見てざるで濾したら一番ダシの完成。

「ん、今日も完璧!…さぁて、今朝のおかずは何にしようかねぇ」
大型冷蔵庫の扉に掛けられたホワイトボードの『材料リスト』を眺めつつ朝の献立を考える。
ちなみに真田家は常に新鮮な材料が揃っている。
買い物は佐助が2日おきに適当に見積もって買ってくるのだが材料が余るということはない。
食べ盛りの父子のおかげもあるのだろうが、無駄のない献立を作る佐助の料理の腕のほうが大きい。
暫く冷蔵庫の前でにらめっこをしていたが 「よし」と小さく呟くと材料を素早く取り出す。
幸村が和食派なのもあって真田家では毎食がほとんどご飯。
朝は必ず味噌汁、それに手製の漬物もつける。
干物と生の魚を日ごとに変えてメインにして、和え物等の副菜も添える。
バランスを考えて朝は野菜と魚中心だが夜は肉類を中心とした食卓だ。
先程作ったダシを小鍋に移していりこを足して味噌汁の準備。
煮ている間に副食に取り掛かるべく包丁を手に取った。

キッチンから包丁がまな板を叩く軽やかなリズムが聞こえ始めると一家の大黒柱である
幸村の起床。
時刻はだいたい7時、不思議と毎朝変ることのない時間だ。
ドアの開く音が聞こえたら一度包丁を置いて、愛する夫へ朝のあいさつ。
「ダンナおはよう〜顔洗ってくるついでに源二郎も起こしてきてくんない?」
「ん…佐助おはよう…」
まだ覚めきっていない目を擦りつつ佐助に抱きつき肩口に顔を埋める。
毎朝のことであるが一度包丁を持ったままで抱きつかれたため、危うく指を切りそうになって以来
ドアが開く音がしたら包丁は置くようにしている。
「もうすぐご飯だからとりあえず顔洗ってきな」
子供でもあやす様に幸村の頭を撫でながら、洗面台へ向かうように促すが一向に離れる様子はない。
腰に回された手は後ろでしっかりと結ばれているのだろう、動こうにも動けない。
このままでは味噌汁はおろか朝食の支度が進められない。
「ダンナァ…味噌汁沸騰しちゃうから……ね?」
両手で幸村の頬を挟んで少し上目遣いで、まるでおねだりでもする様に「お願い」してみる。
それまで重い瞼を漸く開けていた幸村の両目は驚いたように目を丸くして佐助を見つめていた。
互いに見つめ合ったまま数分。セットしておいたキッチンタイマーの音で我に返る。
何故こんなことをしてしまったのか、恥ずかしくて自然と顔が熱くなってきた。
あぁきっと顔赤くなってるな…と思ったら、先に視線を逸らしてしまった。
「さ、佐助!」
「わぁ!」
逸らした視線は逆に頬を挟まれて幸村の視線と再度合わされてしまった。
見れば幸村の顔も茹蛸のように真っ赤だ。
「っ…ダンナす…ごい真っ赤…」
あまりの赤面っぷりに堪らず吹き出してしまった。
「なっ佐助こそ真っ赤ではないか!」
「だって!すっごい、耳まで真っ赤だよっ」
ふたり頬を両手で挟みあったまま、互いの赤面振りを言い合っているうちにどちらからともなく笑い出す。
ひとしきり笑って、ふと視線を戻せばじっと見つめ返される視線。

―――目を見ただけで何考えてるのかわかっちゃうなんて
いつもはいいか悪いかなんてこっちの都合なんてお構いなしに振舞うくせに、こういうときだけ目で訴えるんだもん。
何だかんだ言ってこの人には甘い自分。
ちょっとだけ悔しくて近づいてきた唇を人差し指で受け止めた。
自分よりすこし大きな手のひらがゆっくりと首筋を撫でて、くすぐったくて身を捩った隙に唇は塞がれてしまった。
唇はすぐに離れて、軽く触れるだけのようなキス。
「おはよう」
「ん…ちゃんと目、覚めた?」
もう一度、と幸村が唇を重ねようとしたその時。

「父うえ!母うえ!!火事でござるぅぅぅぅ!!!」
勢いよく開けられたドアの音と一緒に飛び出してきた当家の長男源二郎(5歳)はその場に立ち尽くしている
両親の周りをパジャマの上着を振り回しつつ走り回っている。
ピーッピーッピーッピーッというけたたましい電子音と火災を知らせる美声の女性アナウンス。
はっと振り向けばもうもうと煙と炎を噴き上げる魚焼きグリルと味噌汁が入っていたであろう真っ黒な小鍋。
いつのまにかキッチン中が煙に包まれていた。
「かっ火事!!ていうか源二郎!!口押さえて!屈んで外に!!!」
「は、はい!あぁ!父うえ危ないでござる!!」
「ぬああああ!!まっまだローン35年も残っているんでござるぅぅぅぅぅ〜〜〜!!?!!」
「ちょっとちょっと!何やってんの!ダンナ早く消防署に電話〜〜〜〜!!!」
「うぉおおぉおおお消せァ消せぁああああああ!!」

立ち込める煙の中へ勇猛果敢に消火器を担いで飛び込んだ夫により無事鎮火。
家族全員無事であったがまだローンの残っている家計は大打撃をくらった。
その後幸村に調理中のキッチンへの立ち入りが禁止されたのは言うまでもない。








(´▽`)…拙者バカァ?(うん馬鹿だ)(かなりね)
つーかげんじろが出てきてからが書きたかっただk(ゴフゥ)

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